第27回和漢医薬学会学術大会の開催

時間:2010-09-30

第27回和漢医薬学会学術大会が8月28日(土)と29日(日)の2日間、京都薬科大学キャンパス(京都市山科区御陵中内町5)において開催される。今回のテーマは、「和漢薬と生活習慣を科学する」。特別講演3題、シンポジウム4題、ランチョンセミナーとポスター発表による一般講演が行われる。大会長をつとめる吉川雅之氏(京都薬科大学教授)は、「和漢生薬や漢方薬を含む天然医薬品領域の高度な科学的内容と臨床応用を含む格調高い発表を企画した。この分野の発展への寄与が期待できる」とコメント。今回の見どころについてお話しいただいた。


◆生薬資源確保に避けて通れない「環境」と「エコ」
吉川「今回は、漢方薬を構成する生薬の資源確保のために、エコロジーの視点からのシンポジウム『エコと生薬資源』を企画いたしました。具体的には生薬の栽培化ですね。演者の方々から最近の研究を報告していただけると思います。長崎国際大学の正山征洋先生が、生薬のクローン栽培や、『ミサイルタイプ分子育種』といって、遺伝子を利用して成分含量をアップさせる育種法など、面白い栽培法を紹介します。また金沢大学の御影雅幸先生は、麻黄の研究と、海外の生薬資源の状態について報告します。一方、甘草に限定的した内容で、栃本天海堂の山本豊氏に中国での甘草の栽培について講演していただきます。最後に近畿大学の村岡修先生に、カンカニクジュヨウとサラシアの栽培について講演していただきます。」


◆生活習慣病への対策、生薬・方剤でさまざまに
吉川「また、メタボリックシンドロームなどの生活習慣病に対する生薬や漢方薬の役割を考える目的で、『生活習慣病への対応』と題して、基礎と臨床の両面からのシンポジウムを企画しました。オーガナイザーは、京都医大の三谷和男先生と藍野病院の吉田麻美先生です。大阪大学の前田和久先生がメタボリックシンドロームに対する現代版食養生、吉田麻美先生が糖尿病に対する漢方処方薬の治験について、和歌山大学の別所寛人先生は、東西医学を融合した2型糖尿病の臨床報告をそれぞれ講演されます。」


◆特別講演は「がん治療薬」「ゲノム漢方」「糖尿病の食療法」の3演題
吉川「特別講演では、大阪大学の小林資正先生が、がんに効果のある薬の話をします。また神戸大学の西尾久英先生は、臨床現場と基礎医学の研究室が連携したゲノム解析を臨床応用するという『ゲノム漢方医学』という新しい医学の形を紹介します。副作用が起こりやすい人や、薬物に対する反応の高低が遺伝子から判別できるというお話です。臨床医からの特別講演として、高雄病院の江部康二先生が、薬に頼らない糖尿病治療について講演します。いわゆる食療法ですね。」


◆依然として不十分な大学での漢方教育に対応
吉川「一方、薬学教育が6年制となって長期実務実習も始まっていますが、生薬・漢方薬に関しては、薬学領域では非常に不十分な教育が続いております。そこで、漢方医薬学の教育に関するシンポジウムを昨年に引き続き行います。シンポジウム『漢方の卒後教育』では、座長を大阪大学の西田慎二先生がつとめ、まず私が『漢方薬・生薬認定薬剤師』について概説します。そして日本薬科大学の木村孟淳先生が『日本漢方交流会』の研究会や勉強会について、また昭和大学の鳥居塚和生先生と西田先生、神戸大学の西本隆先生が、それぞれ自身の大学で実践している研究会について、愛媛県立中央病院の山岡傳一郎先生が『四国漢方セミナー』について、活動を紹介します。」


◆現代病をテーマとした市民講座
吉川「市民講座は高齢化社会をふまえ、『和漢薬で健康を守るチャンス!』として、3つの講演をお願いしました。
今大会は、和漢薬や漢方薬の研究者だけでなく、民間薬、サプリメントなどに関心をお持ちの方々にご参集いただき、充実した学会が開催できますよう、関係者一同準備を進めております。」